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書評:月は無慈悲な夜の女王

著:ロバート A ハインライン, 著:矢野 徹
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この書評は、ハヤカワ文庫本の裏のあらすじ程度のネタバレを含みます。

筆者はこの本をあまり好みじゃないと思っており、この書評は大半が批判です。
この本が好きな人はあまりこの書評を読まないほうがいいと思います。すいません (´;ω;`)

総評:星2★★☆☆☆/ 読むのキツかった

結論から言うと、非常に自分に合わなかった。読むのにめっちゃ時間がかかったし、最後のほうは読み飛ばしまくった。

あと、翻訳が悪い。これは悪いと思う。ところどころ読む気を無くすような複雑な言い回しがある。

だから、本の内容にはあまり触れない。

まず、あまりSFっぽい面白さはあまりないように感じた。独立のための革命の物語という感じだった。

自分にとってSFっぽい面白さというのは、「科学に嘘をちょっとだけ加えて、そこから考えられそうな現象や、その現象が物語の中の世界にどう影響するのか見れる」というところだ。

核となる「嘘」がストーリーの最後までそのSFを縁の下で支えている。

「月は無慈悲な夜の女王」の「嘘」は、ネットにつながった超知能が自然発生するところだ。

この「嘘」が、自分にとっては新鮮じゃない。「攻殻機動隊」でも同じようなエピソードがあるし、「エヴァンゲリオン」のMAGIシステムもコンピュータ上の高度な知能だ。

この小説がよくおすすめされているのは、この小説が「コンピュータ上の知能が大活躍する小説」の元祖だからかもしれない。

コンピュータは理想に近づきつつあり、マイクへの感動が薄れている?

この本では超知能”マイク”がとんでもなく万能だ。基本なんでもできる。

しかし、この本の核となる「嘘」 = ”マイク” がブラックボックス過ぎる。このマイクの内部構造には何の説明もない。

超知能マイクのすごいところは見せてくれるが、マイクが如何に科学的に興味深いのかを見ることができないのだ。

舞台は月面だが、やってることは地球上の独立革命とあまり変わらないように見える。

マイクというチートを使って革命というゲームを攻略しているようにしか見えない。

全部マイクがやっちゃうのだ。資金作りも、組織管理も。

しかも、マイクが万能すぎて革命はほぼ障壁なく順調に進んでいく。

昔はコンピュータが人格を持っておしゃべりしながら活躍するのを見るだけで楽しかったのかもしれない。今は違う。

現代人にとってコンピュータが活躍することは当たり前すぎて、マイクのような存在への感動は薄れているのかもしれない。と思った。

初めての書評

というわけで、自分の初めての書評記事でした。

最近読み終えた本がこれだったので、この本を書評してみたが、好きな本にすればよかったと思っている。。。

いろんなところでおすすめされている本で、ここまで合わない本は初めてだった。

いつも有名かつおすすめされているSFを読んでいて、一気に読み終えてしまうことがほとんどだった。

今はグレッグ・イーガンの宇宙消失を読んでいる。この本は明らかに面白いと思える。

やっぱり「月は無慈悲な夜の女王」、僕には合わなかったなぁと再確認した。

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